「ASUS Chromebook Flip CM3(CM3200)」をレビュー。バランスが良く完成度の高い12インチモデル

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海外ではしれっとラインナップに加わっていた12インチモデル「ASUS Chromebook Flip CM3(CM3200)」ですが、2021年5月20日にASUS JAPANが国内投入しました。

このモデルは比較的軽量でエントリークラスのスペックと手頃な価格、USIスタイラスペンをサポートする12インチ、3:2というアスペクト比を採用したディスプレイが特長です。

今回、実機を触る機会をいただきましたので「ASUS Chromebook Flip CM3(CM3200)」のレビューをしていきます。

目次

スペック

まずはスペックからおさらい。

米国のASUS公式ストアに掲載された時点でスペックは明らかとなっており、国内版もキーボードがJIS配列(!)に変更されたくらいで大きな違いはないようです。

ASUS Chromebook
Flip CM3(CM3200)
ディスプレイ12インチ
1,366 × 912
グレア
CPUMT8183
RMA4GB LPDDR4X
内部ストレージ32GB eMMC
64GB eMMC
外部ストレージmicroSD
ポートUSB-C ×1
USB-A ×1
イヤホンジャック
カメラ720p Webカメラ
バッテリー約16時間
その他日本語配列
USIスタイラスペン対応(別売)
サイズ269.2×215.8×16.8mm
重さ(実測)1.149kg
税込価格49,800円(公式等)
45,272円(Amazon)

お気づきの方もいると思いますが、国内では先に販売されている「ASUS Chromebook Detachable CM3(CM3000)」と性能的にはほぼ同じで、ディスプレイサイズや物理キーボード、USIペン別売といったところが違いになります。

また「Detachable CM3」や一般的な11.6インチノートパソコンとは異なり、12インチにアスペクト比3:2(1,366×912)という縦の表示領域が広いディスプレイを採用しています。

サイズは11.6インチモデルと大きく変わらずコンパクトなため、約1.15kgの軽さと相まって持ち運びのしやすいChromebookですが、性能面ではタブレットデバイスに近いエントリークラスとなりますので、負荷のかかる作業には向いていません。

ベンチマーク

参考までに、実機で測定した各種ベンチマークの結果を紹介しておきます。

採用されているCPUはMediaTekのMT8183で、「Detachable CM3」や「Acer Chromebook Spin 311(CP311)」、「Amazon Fire HD」シリーズなどと同じですので、それらのデバイスを触ったことがあれば動作感はイメージしてもらえるかと思います。

クラウドベースの作業が中心でマルチタスクさえしなければ問題はありませんが、普段からPentiumやCoreシリーズなどのハイエンドChromebookを使っている人だと、ややモッタリとした感じを受けるかもしれません。

実機レビュー

では実際に本体などをチェックしていきます。

本体の外観

底面はプラスチック製ですが、天板部分はシルバーメタルで高級感がありヒンジ部分もしっかりとしているため完成度は非常に高いです。

ただ天板側が重いため、片手で開くことができません。

ポート類は本体の左側面に集中して配置されます。

左からUSB-C、microSDカードスロット、USB-A、イヤホンジャックとなっています。

最低限のポートですので実用上大きな問題があるわけではありませんが、やっぱUSB-Cは2つ欲しいところですね。

ちなみに右側面には電源ボタンとボリュームボタンがあります。

キーボードとトラックパッド

「Chromebook Flip CM3」はエルゴリフトを採用しているため、90度以上の角度に天板を開くとキーボード側が少し持ち上がり傾斜が付きます。

傾斜がつくことで文字入力がしやすくなるので、このサイズ感でエルゴリフトが搭載されている点は良いと思います。

キーボードですが、日本国内で販売されるモデルは日本語配列のキーボードとなります。

トラックパッドも大きく、パームレスト部分も広々としてとても使いやすいです。

またキーボード側の剛性感もしっかりとしていて、たわみなどもあまり感じなかったのでハードタイプするユーザーも安心だと思います。

が、「Chromebook Flip CM3」はキーが小さいことが最大の問題になります。

上:Flip CM3 / 下:Detachable CM3

なんと10.5インチの「ASUS Chromebook Detatchable CM3(CM3000)」とまったく同じキーです。

日本語配列キーボードは、もともとエンター周りなどが小さくなる傾向があるので予想していましたが、まさか他のキーも小さいままとは思いませんでした。

同じ12インチの「HP Chromebook x360 12b」はキーピッチが約19mm、11.6インチの「Acer Chromebook Spin 311(CP311)」はキーピッチ約17.5mmとなっていますので、せっかくインチアップしたのに10.5インチモデルと同じキー幅なのが残念です。

ちなみにキーの打鍵感も似た感じで、しっとりとした押し心地で好みが分かれるかもしれませんが、個人的には嫌いではありません。

「Detachable CM3」だとキーボードカバーだったので少しペコペコした感じがありましたが、「Flip CM3」はしっかりとしているので安定感・安心感が違います。

パームレストとトラックパッドの大きさも使いやすいので、一般的なコンパクトモデルに比べてかなり良いです。

正直、キーの小ささを除く完成度は非常に高いため、控えめな性能でも良いならコレを選べとイチオシできるんですが…。

それとバックライトキーボードではありません。

ディスプレイ&USIペン

続いてディスプレイですが、12インチのIPS方式を採用した1,366×912という3:2のアスペクト比となっています。

11.6インチのChromebookよりも縦に大きいため、ドキュメントで文章作成やWebサイト閲覧時も若干表示域が広くなるのがとても良いです。

視野角も広く見やすいですが、グレア液晶なのでやや反射するため気にする人は保護フィルムなどを検討してもいいかもしれません。

唯一気になったところで言えば、ハイエンドモデルなどと比較するとやや色が薄い感じがするところですが、実用上には何も問題はありません。

また「ASUS Chromebook Flip CM3」はコンバーチブルタイプなのでテントモードやタブレットモードとして活用でき、タッチスクリーンの反応なども不満はありません。

サイズ感と重さもちょうど良い感じがするので、Chromebookメインでときどきタブレットという使い方を考えているなら良い選択肢になると思います。

使い方で言えば「ASUS Chromebook Flip CM3」はUSIスタイラスペンにも対応していますので、ペンを使う作業が生じる人にも良い選択肢です。

USIペンなので共通した書き心地で悪くなく、KeepやSquid、Jamboardなどでもスムーズな筆記ができます。

ただ別売りのとなっていることと、ASUS公式のUSIペンは高級&在庫がないのがネックです。

ASUS以外ではいくつかの候補がありますが、個人的にはエレコムのUSIペンが価格・入手しやすさからオススメです。私が実際に使っているのもコレです。

実際の使用感

まずバッテリーの持ち具合についてですが、私の作業で大体7〜8時間くらいは持つので、公称値ほどではありませんが1日作業するには十分です。

実際に数日、外に出て使ってみましたがバッテリーも十分で、性能面でもLinuxアプリを使ったりタブを20〜30も開いてアレコレしなければ、とくに問題はなかったです。

出先でGoogle Workspaceなどクラウドを活用してちょこっと作業するとかであれば、サイズ感などちょうど良いモデルだと思います。

別売とは言えUSIペンをサポートしているので、例えばPDFなどに注釈や署名する必要があったとしてもUSIペンがあれば対応できるのも便利でした。

全体的な完成度はとても高く、サブデバイスはもちろん入門用としてもオススメできる1台です。

ただ、ここで問題になるのがキーのサイズで、こればかりは実際に触ってもらわないとわからないところですが、一般的なキーサイズに慣れている人だとこのサイズ感に慣れるまでは少しきついかもしれません。

文章作成をメインとして考える人にはオススメできないのが正直な感想なので、このあたりは使い方次第となります。

ライバルと比較してみると…

「ASUS Chromebook Flip CM3」のライバルになるのは、性能面では「Acer Chromebook Spin 311(CP311)」と「ASUS Chromebook Detachable CM3(CM3000)」、サイズ面ではや「Acer Chromebook Spin 712(C871T)」と「HP Chromebook x360 12b」あたりです。

具体的な比較はここではしませんが、これら3つのちょうど中間くらいに位置するのが「Flip CM3」です。

  • 性能は控えめ(Spin 311と同じ)
  • コンバーチブル(712はクラムシェル)
  • USIペンをサポート(Spin 311と712は非対応)
  • 12インチの3:2のディスプレイ(Spin 311は16:9、他3:2)
  • 軽い(Spin 311以外は1.2kg超え)
  • 価格は5万以下

という感じなので、コンバーチブルタイプで3:2のアスペクト比、USIペンも使いたいけど「HP Chromebook x360 12b」よりも手頃なモデルを探している…という人には穴場的なモデルだと思います。

どちらかと言うと、名機「ASUS Chromebook Flip C101PA」の後継機という感じなので、これを待ち望んでいた人にとって良い選択肢になるんじゃないでしょうか。

価格について

最後に価格についてですが、Amazonでは税込45,272円、ASUS公式ストアやビックカメラなどの家電量販店では税込49,800円となっています。

「Acer Spin 311(CP311)」や「Acer 712(C871T)」のCeleronモデルより高めの値段設定ですが、コンバーチブルのペン対応かつ「HP x360 12b」と同程度の価格で軽い…という感じですので悪くはないと思います。

しかしクラムシェルとは言え「Acer 712(C871T)」のCore i3モデルとほぼ同じ価格、同サイズ・高性能な「HP x360 12b」とも同価格かつセールで値下がりする可能性があることを考えると、微妙なラインでもあります。

価格だけで決められるものではありませんが、もう少し価格を抑えることができれば競争力も高くて良かったかなと思います。

まとめ

ということで、ここまで「ASUS Chromebook Flip CM3」のレビューでした。

性能的に負荷のかかる作業やキーサイズが小さいという問題から長時間タイピングするような文章作成には向いていませんが、エントリークラスのChromebookとしては全体的に完成度も高く使い勝手にも優れているので、サブとしてだけでなくメインとしてもオススメできます。

もしUSIペンをサポートする手頃な価格のコンバーチブルタイプのChromebookをお探しなら、「ASUS Chromebook Flip CM3」を検討してみてはいかがでしょうか。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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