「ASUS Chromebook Detachable CM3」をレビュー!これは名機と言えるChromebookタブレット

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今年の1月末から海外で動きのあったASUSの新型Chromebookタブレット「ASUS Chromebook Detachable CM3(CM3000)」ですが、海外から遅れもなく3月17日に国内投入が発表されました。

「CM3」は、着脱式キーボードと2方向のキックスタンド付きカバーを採用した10.5インチのChromebookタブレットデバイスで、さらに本体収納式・充電式USIスタイラスペンを備え、トータルでも重さは1kg以下に収まるという、これぞ求めていたコンパクトChromebookとなっています。

今回、ありがたいことに実機に触れる機会を頂きましたので、「ASUS Chromebook Detachable CM3000」のレビューをしていきたいと思います。

目次

基本仕様

まずは「ASUS Chromebook Detachable CM3」のスペックから紹介していきます。

ディスプレイ10.5インチ グレア
1,920 × 1,200
CPUMediaTek MT8183
RAM4GB
内部ストレージ128GB
(法人・文教向け:64GB)
カメラリア: 8MP AF
フロント: 2MP
ネットワークWi-Fi ac
Bluetooth 4.2
ポートUSB-C ×1
ComboJack ×1
バッテリー最大12時間
その他本体収納・充電式USIペン
(15秒収納で45分使用可能)
着脱式キーボード
キックスタンド付きカバー
本体サイズと重さ255.44×167.2×7.9mm
506g
※KB+カバー付き255.44×167.2×16.9mm
915g
価格(税込)50,800円
(法人・文教向け:44,980円)

日本では、一般向けに128GBストレージモデル、法人・文教向けに64GBストレージモデルの2つの構成で販売され、一般向け128GBモデルが50,800円、法人・文教向け64GBモデルが44,980円(いずれも税込み)となっています。

10.5インチの広視野角、グレア液晶で1,920×1,200の解像度となっていて、キーボード・カバー込みでも重さは915gとChromebookとしては非常に軽量です。

かの名機「ASUS Chromebook C101PA」よりもわずかに15g程度重くなっただけで、画面サイズや解像度、機能・性能面含め大きく改善しているため、軽量・コンパクトChromebookの決定版と言うべきモデルに仕上がっています。

Chromebookとして見るとエントリークラスの性能ですが、Androidタブレットとしてみるとミドルレンジ程度の性能はありますので、普段使いから学校、ビジネスでも活躍できる手頃なモデルと言えます。

ベンチマークについて

これまでにも何度かベンチマークを紹介していますが、「ASUS Chromebook Detachable CM3」は人気が出そうなので、知らない人のためにも改めて紹介しておきます。

「ASUS Chromebook Detachable CM3」のCPUはMediaTekのMT8183と呼ばれるもので、「Acer Chromebook Spin 311」や「Amazon Fire HD」シリーズなどに採用されています。

Geekbenchのスコアを見ると、同じMediaTek製でChromebookに採用されている一世代前のMT8173とシングルコアはほぼ同等ですが、マルチコアスコアが2倍以上となっています。

この数値は、現行ハイエンド寄りのPentium Silver N5030とほぼ同等のスコアとなっていますが、実際に使ってみるとベンチマークスコアほどキレはなく、使い勝手から言うとCeleron N3350とN4020の中間くらいです。

これは「ASUS CM3」以外のMediaTekのCPUを搭載したChromebookに言えることですが、とくに負荷がかかる作業時の底力みたいなものがインテルに比べて弱いと感じます。

そのため、クラウドベースの作業であれば問題なくこなせますが、タブの数が15〜20個など負荷がかかかる作業やLinuxを動かしたりするのはあまり向いていません。

一方、ARM系プロセッサであるためAndroidアプリの動作はそれなりに良好ですので、補助的にAndroidタブレットとして使うことができます。

画面サイズが小さいため作業するにも少し辛いですが、どこでも持ち運びができて簡単な作業をしたりタブレットとしてAndroidアプリを使うといった切り替えがうまくできるため、控えめな性能でもうまく立ち回れることが「ASUS Chromebook Detachable CM3」の強みだと思います。

実機レビュー

ではさっそく実機レビューをしていきますが、まずは本体の外観をチェックから。

外観チェック

本体のみで横持ちの状態から、各側面と裏面、ディスプレイ面です。

横持ちした状態で、左側面には電源ボタンとボリュームボタン、上側面の右端に本体収納・内蔵式USIスタイラスペンスロット、右側面にはUSB-Cポートとイヤホンジャック、下側面は着脱式キーボードと接続するピンがあります。

なおUSIスタイラスペンの収納は向きが決まっていますが、本体に収納できるのはとても便利です。

若干硬めで取り出しづらく感じましたが、落としてしまう心配がなくなりますし、慣れればスムーズに取り出せるようになりましたので、最初だけ注意すれば良いと思います。

着脱式キーボードとキックスタンド付きカバーを着けた状態がこちら。

「Lenovo Duet Chromebook」で気になった閉じた状態でキーボードと本体がズレてパタパタする現象も、マグネットが内蔵されたことでしっかりとくっついて閉じます。

厚みもそこまで気にならないですし、この状態でも実測912gと軽いことは大きなアドバンテージだと思います。

サイズ感も重さは「ASUS Chromebook C101PA」と近いため、「C101PA」の後継機を求めていた人にとっても「CM3」は良い選択肢になると思います。

また、サイズ感や重さは「Duet」と大きく変わらないわけですが、「CM3」の方が全体的に薄く感じ、掴んだときにも違和感がないため、こちらの方がよりスッキリとした印象です。

着脱式キーボード

「ASUS Chromebook Detachable CM3」の着脱式キーボードですが、今回国内で販売されるモデルは(残念ながら)日本語キーボードモデルのみとなっています。

エンター周りが小さいのはJIS配列ならではの難点ですが、キーピッチ17.5mmは確保されているため入力はしやすいと思います。このあたりも「C101PA」と同じような使い勝手だと感じます。

「CM3」の着脱式キーボードは、「Lenovo Duet Chromebook」とは違い「Surface Pro」のキーボードのように傾斜(約6度)をつけることができます。

一応、フラットな状態でも使うことができますが、キーボードのヒンジ側も固めでちょっと浮いてしまうため、基本的には傾斜を着けた状態で使うことになると思います。

キートラベルは1.5mm、クリック感もあってしっかりとした打鍵感のため、浮かした状態でも安定するので割と好みですが、フラットで使いづらいのとバックライトキーボードが搭載されていない点がちょっとだけ残念です。

押したときのペコペコ具合は「Surface Pro / Go」のタイプカバーよりしっかりとしているため、よほどのハードタイパーでなければそこまで問題ないと思いますが、それなりに力を入れるとたわむ感じがありますので、過信はしない方が良いです。

ちなみに、「Duet」のキーボードよりもわずかにサイズが大きく、ピンの位置は同じですがその左右にある突起部分の位置が違うため流用はできません。

横・縦対応のキックスタンド付きカバー

「ASUS Chromebook Detachable CM3」が採用しているキックスタンド付きカバーは、横だけなく縦方向でも立てることができます。

いままでこの手のキックスタンドは横だけと思っていましたが、カバーで採用することで縦でも出来るというのはとても面白い試みだと思います。

カバーの裏面はこんな感じ。

縦・横のどちらも最大90度までの開度があるため、たとえば電車などで膝上でちょっとした作業をすることもできます。

縦はWebサイトやドキュメントなどの資料を見るのにちょうど良いので、例えばメインPCなどで作業しながら資料などの確認用として使う方法も有りだと思います。

ただ、この状態だと着脱式キーボードが使えない(Bluetoothキーボードがあれば大丈夫ですが)こと、USB-Cポートが下に来るため充電しながら使えないことだけ注意が必要です。

あとは最大90度の開度ですが、卓上で文章作成や閲覧などではまったく問題ないものの、スタイラスペンなどで手書きをする際には開度が足りないため、ここはもう少し開くようになって欲しかったです。

ディスプレイ

10.5インチというサイズ感も良く、ベゼルも狭めなのでタブレットとしてもChromebookとして活躍ができると思います。

「ASUS C101PA」で泣き所だったタッチ操作への反応の改善と解像度も最大1,920×1,200と高解像度になったので作業用にも十分通用します。

僅かな違いとはいえ、10.5インチだと最大解像度でもそれなりに使えるため出先でも作業が捗りますが、そのままタブレットとして運用するには少し文字やアイコンが小さすぎると感じるので、1,600×1,000(75%)あたりが落ち着くポイントでしょうか。

色味も良いですし、視野角も広く自分以外に画面を見せる場合であっても困ることはないと思います。

グレアのためある程度反射してしまうのは仕方ないと思っていますが、上の写真のベゼル部分を見ていただくと気づくかと思いますが、指紋もわりと目立ちます。

もしタブレットとして使うことが多く、指紋や汚れ、キズがつくことを気にするなら画面保護フィルムは購入するほうが良いと思います。

本体収納&充電式USIスタイラスペン

キックスタンドの次に特長なのがスタイラスペンだと思いますが、さっと取り出してメモを書いたり資料などに注釈を入れるときにはとても便利でした。

たとえ書いている最中に充電が切れてしまったとしても、15秒間収納しておくことで約45分使用可能まで充電されますので、切れることはほぼ心配する必要がありません。

肝心のペン自体の書き心地ですが、USIスタイラスペンなのでこれまでのUSIペンと当然ながら大きく違いはありません。

しかし軸の形状が細めの長方形(モレスキンのペンよりもやや細い感じ)であることと、ペン先がやや固めとなっているため、持った感触は好みがわかれるところだと思います。

とは言っても、USI規格のため他のUSIスタイラスペンをペアリングなどせずとも使えるため、出先では本体収納式ペン、家や職場では別のUSIペンを使うといったことで対処可能です。

ペン自体は良い出来だと思いますが、やはりアプリ側がUSIペンやChromebookに対応しきっていないからか、一部アプリでパームリジェクションが機能していない(ように感じる)ことがありましたので、iPadとApple Pencilの組み合わせに比べると少し物足りなさがあります。

余談ですが、私がいつも試すアプリはKeep(Web)、Squid(Android)、図形描画(Web)、Jamboard(Web&Android)の5つで、毎回酷いのはJamboardです。残念。

Androidアプリの使用感

スタイラスペンの話に続いて、手書きアプリやJamboard、Kindleなどを使ってみましたが、概ねはちゃんと動いてくれます。

もちろんLightroomなんかもしっかりと動きますが、枚数が増えてくるとさすがに重さを感じるため、一度に編集するのも20〜30枚以内に抑えた方が良いかと思います。

Kindleは雑誌や漫画を読むのにちょうど良いですし、一般書籍も縦書きの場合は表示量が多くなるので、ざっと流し読みをするにも良いです。

ただ、Androidアプリも完全に動作するわけではないため、例えばゲーム目的などで購入しても動かない可能性もあるため注意が必要です。

Kindleでもフリーズするときはしますし、こればっかりはGoogle側が力を入れてAndroidアプリを動かすようにしてくれないと…。

バッテリーライフ

これまでに書いてきた内容を色々と1日中試してみましたが、私が普段からChromebookで行う作業を含めても、だいたい8時間ちょっとはバッテリーが持つ計算になりました。

Chromebookとしてもタブレットとしても、連続で8時間くらい使うことができれば十分だと思いますし、そもそも作業領域が限られる「CM3」では8時間作業するのは物理的にキツいはずなので、持ち運ぶ用のデバイスとしては優秀だと思います。

全体的な使用感

この2週間ほど「ASUS Chromebook Detachable CM3000」をサブとして、ときにメインとして使ってきましたが、非常に優秀なChromebookタブレットだと思います。

全体のサイズ感と安定したキーボード、縦・横使えるキックスタンド付きカバー、本体収納・充電式USIスタイラスペンといい、扱いやすさはピカイチだと思います。

一方、以下の点をネガティブポイントとして挙げますが、人によってはメリットや問題なしと判断すると思います。

  • 10.5インチのグレア液晶
  • コンパクトサイズ
  • タブレット(着脱式キーボード)である
  • エントリー〜ミドルクラスの性能(Linux活用までは厳しい)
  • 外部モニタ出力が最大1440×900まで
  • 64GBか128GBストレージしかない(microSDスロットもない)
  • タブレット本体のみの重さが約506g(合計では約915g)
  • MILスペック非準拠
  • 日本語キーボード(エンター小さい)
  • スタイラスペンが付いてくる
  • Androidタブレットが欲しい
  • 価格

このような点を考えて問題ないようであれば、「ASUS Chromebook Detachable CM3」は買いだと思います。

私としては、「Lenovo Duet」も悪くない機種だと思っていますが、「ASUS CM3」は後発なだけあってうまく欠点をカバーしているため、こちらの方が扱いやすいと感じました。

個人的にはASUSの名機「C101PA」を今風にうまくリニューアルした印象もありますので、あの機種が好きだった人や気になっていた人にはハマる気がします。

Chromebookが初めての人も慣れた人も、サブ機として試したい人も「ASUS Chromebook Detachable CM3」はオススメですので、ぜひ購入を検討してみてください。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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